こんにちは。オハナのお世話係ももあき(@fureburu-ohana)です。
飼い主さんが動物病院に行くきっかけは、定期的な事(犬なら狂犬病予防接種など)と、調子が悪いので診察してもらうための二通りが多いと思います。それ以外は健康診断などがありますが、今回はペットの健康診断について考えてみます。
健康診断の項目
ペットの健康診断といっても様々です。主に健康診断の対象になる動物は犬と猫です。
小動物の健康診断を実施している動物病院もありますが、一般的ではありません。
体重測定
まず体重を測ります。
健康診断の有無にかかわらず、動物病院では体重をはかる場面は多いです。犬の場合は、犬種や年齢により標準体重の目安があるので、体重だけでも健康状態の目安になります。
耳垢検査

耳の状態を検査します。
健康状態が悪かったり(免疫が弱っている)、また多湿状態が続くと耳に細菌が繁殖しやすくなり、大量の耳垢や臭いが発生します。
犬の場合、理由もなく頭をブンブン振ることが多くなったり、後ろ足でしきりに耳付近を掻いていたら、外耳炎の可能性があります。
歯科検査

歯石や歯肉の状態を観察します。
歯石は犬の口臭に直結しています。歯石予防は普段からのケアが重要です。
また、こびりついた歯石はなかなか取れないので、重度の場合は全身麻酔をかけて超音波スケーラーで除去する必要があります(今は無麻酔で除去する方法もありますが、その作業に犬が相当慣れないと難しいです)。
超音波スケーラーでの歯石除去は全身麻酔で危険が伴うため、避妊去勢時に同時に行うことが多いです。原則シニア犬は、全身麻酔をしてまで歯石除去は行いません。
ペット用のスケーラーが販売されていますが、おすす2020めできません。
それは先端が鋭利なため危険が伴う事と、素人がスケーリングすると歯の表面に傷がつき、強固な歯石が付くという悪循環になりがちです。
まずはかかりつけの動物病院に相談してください。
眼科検査
眼球の状態を観察します。
シニアになると白内障や緑内障などが起こり、人間と症状はほぼ同じです。
犬特有として病気として『チェリーアイ(第三眼瞼腺逸脱)』があります。
白目に真っ赤なごぶのようなものが出来て痛みが伴います。遺伝的要素が強いと言われています。内科的には点眼治療で症状を和らげる方法がありますが、再発を繰り返す場合は手術が行われます。
血液検査(一般検査1,500円~・生化学検査項目ごと500円~)

血液を採取して検査します。
大学病院や24時間対応している動物病院以外では外部の検査機関に検査を委託している場合が多く、すぐに結果は分かりません。
血液検査は多種多様なので、全ての項目を検査することは現実的ではありません(人間も同じです)。体調不良で来院した場合は、その症状に応じて検査項目が選ばれます。健康診断としての血液検査は項目が絞られます。
レントゲン検査(1方向3,000円~)
通常は異常が疑われる範囲を撮影しますが、健康診断では異なります。
気になる点を伝えればそれに応じた撮影になると思いますが、健康診断では一方向を全体的に撮影ことが多いです。料金メニューにより二方向撮影もあります。
腹部超音波検査(2,000円~)

健康診断では、肝臓、消化器、胆嚢・胆道系、膀胱や尿道を主に観察します。
超音波検査は、人の聞くことができない音の跳ね返りを受信して画像化しています。音の跳ね返りなので、途中に空気があるときれいに描出できません。人間の検査でゼリーを塗るのは、空気をなるべく入れないためです。動物の超音波検査もゼリーを塗ります。動物の場合は、毛があるので必要に応じて剃毛も行います。
尿検査(1,500円~)
健康診断での主な項目は『尿蛋白』『 PH』『ストラバイト』です。
採尿は検査当日に自分で行います。難しい場合は動物病院でも採尿できます。検査には新鮮な尿が必要なので、自分で採尿する場合も直前が望ましいです。
尿蛋白
・タンパクが尿に出てきている状態です。『尿蛋白=病気』ではありませんが、通常タンパクは腎臓で全て再吸収されるので、腎機能が低下していることが分かります。
PH
・通常は弱酸性(6.0)から中性(7.0)です。アルカリ性に傾くと『尿路結石』のリスクが高まります。
ストラバイト
・尿中のマグネシウム・アンモニウム・リン酸がアルカリ尿により結晶化し、尿路に結石として出現する病気です。細菌感染も原因のひとつと考えられています。
糞便検査(1,000円~)
糞便検査の目的は、寄生虫の有無と腸内細菌の状態を調べます。
糞便の状態は『健康のバロメーター』と言われているくらい健康状態が分かります。検査以外でも、普段からよく観察する事が重要です。
心電図検査(1,000円~)

不整脈を調べます。
心臓は微弱な電気信号で動いており、その流れや電気信号が発生する場所が決まっています。その流れを検査することで心臓の状態を確認します。
心臓超音波検査(10,000円~)

心臓の血流や心臓弁の状態を検査します。
通常の健康診断では行われない検査です。設備も高額で、大学病院や一部の循環器に強い動物病院などに設備されています(心臓病の疑いがある時に初めて検査します)。
さいごに

動物は直接症状を伝えることができないので、いつも様子を観察することが重要です。
調子が悪くて動物病院を受診する場合は、その状況により検査が行われますが、健康診断を行うことにより、無症状でも潜伏しているリスクを知ることができます。
費用は掛かりますが、長生きしてもらうためにも定期的な検診はおすすめします。